酪農経営に重要な3つの柱【世界一の酪農経営】

フィル・ヘルフターさんが1988年に日本で最初におこなった講演のタイトルは「成功の鍵は栄養にあらず」でした。

成功の鍵は栄養にあらず

われわれは飼料や飼料費こそ酪農経営でもっとも重要だと教えられてきました。 その飼料の高騰で、われわれは厳しい経営を強いられています。

ヘルフターは日本での最初の講演で、自分が酪農で成功したのは栄養、つまり飼料だけではないとのメッセージを残しました。

彼は酪農経営の基礎は酪農家のアティテュード(精神的な姿勢や態度)だと話しました。 第二に重要なのは、牛を観察し、牛がどのように感じているかを考えることだと話しました。

酪農経営に重要な3つの柱

1.高い乳量と乾物摂取量は取り組む姿勢(アティチュード)で決まる

乳牛は餌食(えじき)になる動物で警戒本能が非常に強いのです。
牛は理性で判断するのではなく、目に残る画像やにおいで判断します。

牛が毎日見る画像やにおいが過去に見たり経験したものと違うと、牛は警戒心が働き、緊張し、行動を躊躇します。
これが乾物摂取量に影響します。

乾物摂取量を保つには3つのC、Consistency(一貫性)、Continuity(継続性)、Comfort(快適性)が大切です。どの仕事も毎日同じ時間に始めます。私はバンカーを新しいものに変えるときは21日間かけます。ノーコファームズの搾乳牛平均乾物摂取量は68ポンド以上(30,8kg)、目標は70ポンド(31,8kg)です。

2.アティチュード(attitude、前向きな態度、積極的な姿勢)は伝染する

私は朝5時に牛舎に行くが、牛舎に行くことが楽しくて仕方がない。

毎日良い方法がないかと積極的な姿勢で仕事に取り組んでいます。この態度、姿勢(アティテュード)は家族に伝染し、農場で働く人に伝染し、牛にも伝染します。自分のアティテュードが牛に伝染しているかは、牛の態度で分かります。スタンチョンのヘッドロックがカタカタ音を立て、牛はしっかり反芻し、飼料を十分に食べて生き生きとした目をし、乳量は十分に高いなどアティテュードの伝染程度は確認できます。

3.観察し耳を傾ける酪農家の能力が成功をもたらす。

酪農経営は乳牛の行動をいかに観察、監視できるかが勝負です。
ルーメンが活発に働いているか、よい反芻をしているか、牛の態度はよいか、病気になりそうな牛はどれか、コンディションの落ちた牛はいるかなど牛群の状態を観察で知ります。

どの牧場でも成功を制限しているのが観察です。牛を観察するより、コンピュータの操作に時間を割いている牧場を日本でいくつか見ました。

私は分娩後5日間の牛の状態を見て、その牛の年間乳量が分かります。分娩後10日で自主的に淘汰する牛を選びます。

シリーズ『世界一の酪農経営』


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