乳房準備を見直せば乳質は改善できる【リード博士の提言】

アメリカ・ウィスコンシン州の乳質コンサルタント、デービッド・A・リード博士を2012年から日本に招き、全国の牧場を訪問し、各地で乳質改善セミナーを開催してきました。また、2013年からはリード博士の招きでアメリカ、カナダの牧場を訪問し、セミナーもして頂きました。
これまでのリード博士からのアドバイスをまとめました。今回のテーマは『乳房準備』です。

新しい乳房炎の感染

  • ユニットを装着するときの乳頭皮膚および乳頭口についたバクテリアの数に直接関係します。
  • バクテリアの数を減らすカギは『乳房準備』です。

リード博士が提案する「乳房準備」

搾乳方法の正解は『ひとつ』ではありません! 牧場、牛床管理、搾乳者、牛の状態などによってそれぞれ牧場ごとに合う方法があります。ただし、乳房準備は誰がいつでもどの牛に対しても正く一貫性のある手順で行ってください。目標は『クリーン』『ドライ』『刺激』した乳頭をできるだけ多く搾乳することです。

1.手袋をした手で乳房や乳頭についた汚れを簡単に払う

2.プレディッピング

3.ワンツースリー・ワンツー・ワンツーで『クリーン』、『刺激』、『前搾り』

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4.乾いたタオルで『ドライ』に拭き取り

プレディッピング後20~30秒を目安に乾いたタオルで乳頭を水平に1回

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タオルを裏返して乳頭先端の汚れをしっかり拭き取る

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※牛の汚れが目立つ場合はプレディッピングからの作業を繰り返してください。

泡ディップは少ない使用量で乳頭全体を浸すことができ、ワンツースリーもやり易いのでオススメです。

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5.ユニットの装着

最初に刺激を与えてから90~120秒後にユニットを装着し、ユニットが乳房から垂直になるようにアライメントを調整する。

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※システム、牛の状態、搾乳者など牧場によって様々です。どの牛も最初の刺激から90~120秒後にユニットが装着できるよう、拭き取りまでの作業を何頭ごとに行うか調整してください。

6.乳頭全体が浸るようにポストディッピング

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乳房準備の目標とは

  • 乳頭を10~12秒刺激するとオキシトシンが放出されます。
  • このホルモンが血液を経由して20~25秒で乳房に移動します。
  • 20秒で筋肉細胞の収縮が始まり、30秒以上で完全に収縮します。
  • 最初に乳頭に触れてから、完全な乳のおろしは90秒です。
  • オキシトシンの半減期は4~6分の間です。
  • 乳房準備の目標は『やさしく』、『すばやく』、『完全に』
  • オキシトシンの効果を最適にし、たまった乳を収穫するよう正しく刺激し、乳頭をクリーンにすることです。

泌乳曲線をチェック

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↑刺激が少なく最初の乳のおろしが悪く槽内だけがおりる

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↑十分な刺激で搾乳の始まりと継続されるフロー。

残乳量をチェック

ユニット離脱後すぐに4本の乳頭を手搾りして4分房の残乳量が100~250ccになるよう離脱のタイミングを少しずつ調整する。

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残乳量が100cc以下だと過搾乳!乳頭口に過剰な負担がかかり、牛が痛がり乳頭口糜爛の原因になる。

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パーラーで何が起こっているか注意深く観察

  • 牛は牛舎からパーラーに嫌がらずに入ってきますか?
  • 乳房準備中に牛は静かに立っていますか?
  • 多くの牛は、ユニットを装着した直後に乳は流れていますか?
  • 牛はそわそわしたり、足踏みしたり、ユニットや搾乳者を蹴ったりしますか?
  • 搾乳中に糞や尿をする牛はどれだけいますか?

『やさしく』、『すばやく』、『完全に』搾乳できれば牛はリラックスするだけでなく、乳質は改善し、搾乳時間は早くなり、乳量のアップも期待できます。

乳質改善の原則

  • 牛をクリーンに、ドライに、快適に保つ。
  • クリーンでドライ、刺激した乳頭を搾る。
  • どの牛にも品質の良いプレ・ポストディップ剤を使う。
  • 搾乳機器を定期的に正しくメンテナンスし、分析する。
  • 臨床性乳房炎はすみやかに治療し、治療牛・分房の記録を持つ。
  • 慢性的な乳房炎牛は淘汰する。

リード博士のメッセージ

乳質は決して偶然ではない。強い意思、誠実な努力、賢い方向性と熟練した仕事の結果である。
多くの選択肢やマネージメントという約束事の中から賢い選択をしたことを意味する。

リード博士が推奨する搾乳手順は動画でもご紹介しています

純国産プレ・ポスト両用のディッピング剤

本来の乳頭はシワがなく柔らかで、すべすべしているものです。美しい乳頭、健康な乳頭は牛にとってのストレス軽減にもつながります。また、乳頭にシワがないことで、ペーパーでのふき取りもスムーズに。

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デービッド・A・リード博士

image1 開業獣医師として15年、獣医師コンサルタントとして15年、搾乳機器メーカーで8年半、その後独立して6年以上アメリカだけでなく世界各地の酪農家および獣医師へ乳質・獣医師コンサルタントとして働く。全米乳房炎協議会(NMC)の会長も務める。また、搾乳管理ソフトの開発、技術協力にも携わる。
日本には2012年から毎年来日し、日本各地の酪農家を訪問して乳質改善に役立つ情報、サービスをナスアグリサービスとともに提供している。


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