ミルカー 点検作業〈 細菌数増加の改善 〉

2011年9月のはじめに、あるお客様から「最近、乳質検査で細菌数が増えた。」と相談を受けました。調査をしてみるとミルカーのエアインジェクターが動いていないことが原因でした。また、他にもいくつか改善すべき点が見えてきました。

原因の調査

洗剤を変えたにもかかわらず細菌数は変わらないとの事で、お話しを聞く限りでは、洗浄時の湯の温度が低いことが原因ではないかと感じました。

ところが、実際にミルカーを点検するため、お客様に洗浄のスイッチを入れてもらうと、ミルカーの様子が何かおかしいと違和感を感じました。

さらに詳しく点検すると、エアインジェクターが動いていないことが、この違和感の原因でした。

お客様にエアインジェクターについて伺ってみると、 ミルカーから変な音がするので以前、ミルカー業者に相談してみたが、ミルカー業者は「エア・インジャクターの中のゴムを代えたので、問題はない。」との答えだったので、しばらく様子をみていたが、その後も何にも変わらずミルカーからの異音は続いていた。との事でした。

エアインジェクターについて弊社が改めて調べてみると、正しく動いていないのは本体ではなく、エアインジェクターをコントロールしているスイッチが動いていない事が原因だと分かりました。

新たにつけたスイッチ

古いものは、コントロールボックスに入っていますが、新しいものは大きくて、ボックスに入らないので、壁に直接設置しました。

新たにつけたスイッチ

エアインジェクターの位置調整

洗浄の際、戻ってきたお湯がスムーズに流れず、エアインジェクターからあふれ出ていました。 エアインジェクターの位置を手前に変更することで、戻ってきたお湯がスムーズに流れるように処置しました。

エアインジェクターの位置

ミルクホースをねじ込み式に

さらに、搾乳時に搾ったミルクをバルクタンクの上から注ぐためのミルクホースの洗浄が、シンク横のサヤのようなものに挿入するだけだったので、洗浄時に戻ってきたお湯がここでもスムーズに流れず、オーバーフローしていました。

そこで、その場で、ホースのサヤをねじ込み式に変更しました。

これにはお客様も「まさか、その場で溶接するとは思わなかった…。」ビックリしていましたが、これでお湯はスムーズに流れ、あふれ出る事もなくなりました。

ミルクホースをねじ込み式に

シンクの大きさは改善課題

シンクの大きさにも問題がありました。
あまりにシンクが小さい上に、お湯があふれていたので、洗浄に必要なだけの十分なお湯がたまらず、それに加えてオーバーフローしていたため、なおさらお湯が足りない状態になっていました。

しかも、ボイラーでの給湯なのでお湯の温度も低く、排水時の温度は48~49℃と洗浄に十分な温度とは言えませんでした。

この二点に関してはは今回は解決できなかったので、今後の改善課題となりました。

モイスチャートラップの洗浄

いままで洗浄が不十分だったため、モイスチャートラップもうまく洗浄されていませんでした。
これは一度分解して、手で念入りに洗浄すると、洗う前は白く濁っていましたが、中の水滴が見えるまでに回復しました。

これにはお客様も洗浄がいかに上手くいっていなかったのを実感した様子でした。

これにはお客様も洗浄がいかに上手くいっていなかったのを実感した様子でした。

洗い終え、組み立て直したモイスチャートラップ。

洗い終え、組み立て直したモイスチャートラップ。

真空圧のチェック

作業を終えたところで、お客様から「この機会に真空圧もチェックして欲しい」とご依頼があったので、真空圧の計測も実施しました。

真空ポンプのスイッチを一度入れ、ストップしてみると、ここでも機械から異音が発生していました。

機械室の真空ポンプを点検してみると、真空ポンプに付いているはずの逆止弁が付いていませんでした。

お客様に伺ったところ、以前はよくバランスタンクの蓋が飛んで空いていたそうです。

お客様に伺ったところ、以前はよくバランスタンクの蓋が飛んで空いていたそうです。

これは逆止弁がなかったので真空ポンプを止める際に、空気を引っ張らなければいけないところで、逆に空気をミルカー内に押し込んでしまっていたことが原因で、そのままにしておくとパルセーターなどを壊してしまう恐れがあります。経年劣化によって、真空ポンプの中の羽がすり減っていて元の力が出なくなっていたので、最近は蓋も飛ばなくなって、なんとか持ちこたえているという状態だったので、急遽、逆止弁を取り寄せ、さっそく取り付けることにしました。

逆止弁の取り付け

逆止弁を取り付けたところで、改めてテストゲージで真空圧をはかってみると、予想通り真空圧は高めの設定になっていました。

今回のお客様はパーラーですが、搾乳したミルクが自脱のコントロールボックスに一度あがり、それから下のミルクラインに行くような形になっています。
真空圧は繋ぎ牛舎と同じ、ハイラインの設定になっていたようです。

真空圧は繋ぎ牛舎と同じ、ハイラインの設定になっていたようです。

お客様は「ミルクを出すのが遅い牛がいた。」と仰っていましたが、これはおそらく、高すぎる真空圧を不快に思った牛が、なかなかミルクをおろさなかったのだと思われます。

調整前

調整前

調整後(搾乳時)

調整後

今回のお客様は、以前からミルカー業者の対応に随分不満があったようです。
おかしいと感じるところを話しても、ゴム類などをかえるだけで点検らしい点検もせずに「問題ない」の一点張りで終わってしまい、真空圧もゲージを見るだけで、今回のようにテストゲージで測定してたうえで、何故そうなのかという詳細な説明もなかったとの事でした。

細菌数の低下!

後日、今回のお客様より「この間の成分検査で6万あった細菌数が、1万台まで下がったよ。」 と連絡がありました。

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